余ったフェイクファー

夏の後半は、いつも夫の実家があるアルザスで過ごします。

夫のご両親の家は、町の中心から少し離れたところにあり、外へ出ると、片側は住宅街、もう片側はトウモロコシ畑が広がっています。

アルザスにいる間、外へ出るときには、車が必須です。このため、滞在中のほとんどの時間を家の中で過ごすことが多くなります。

山ほどある時間をどう使うか。仕事をするには、こんな最適な環境はなく、進まない仕事もアルザスではよく進みます。とはいえ、朝から晩までパソコンの前に向かうのも疲れます。

それで、先日、クマのぬいぐるみを作ろうと思い立ちました。

なぜクマのぬいぐるみかといえば、実家に置きっぱなしにしていた、ユニクロのフェイクファーのマフラーが、クマ風だったからです。マフラー「だった」という方が正確でしょう。5年ほど前のモデルで、幅も長さも私がイメージするよりも大きくて使いにくく、首に巻くと、肩が凝ってしまうのが難点でした。それでファーの縫い目をほどいて、2面あったものを1面にして使っていたのですが、その作業をアルザスでいたため、ほどいた片面が余ったままになっていたのでした。

私は袋物や簡単な洋服など、実用的なものを作ったり、服を修理したりするのは好きですが、ぬいぐるみを作ったことはなく、作りたいと思ったこともありませんでした。が、勉強するのも気が重く、外へは出るに出られず、時間は山ほどあったため、苦し紛れにでたアイデアがクマでした。

ぬいぐるみの型紙はインターネットで見つけ、ダウンロードしたものを二倍に拡大してコピーして、フェイクファーの布に型紙をあて、サインペンで印をつけました。いつもならサインペンを布に使うことはありませんが、フェイクファーは分厚く、絨毯の裏側のように、目が荒いので、普通のチャコでは印を入れてもほとんど見えません。おまけに小さなぬいぐるみなので、できるだけ印をきれいに写すため、思いついたのがサインペンでした。

くっきりと入った印にそって布を裁断し、手縫いでぬいぐるみを製作しました。まずは耳を作り、頭を完成させました。思ったよりも毛足が長く、愛くるしいクマというよりは野性味がたっぷりです。そこで、暇だったこともあって、毛足をハサミでカットすることにしました。耳の毛を短くしたところ、それなりに可愛らしい耳にになりました。毛の長さもぬいぐるみの表情を左右するもののようです。

フェイクファーは縫いにくそうに見えて、実は簡単です。毛が縫い糸を隠してくれるので、私のようなぬいぐるみ初心者でも、縫い目が目立ちません。細かく縫うところだけ気をつけ、返し縫いをしながら縫ったのと、布を表にひっくり返す時に玉止めが抜けてしまわないように玉止めを二回入れることにしました。

腕2本、足2本に続き胴体を作り、綿を詰めて、適宜毛のカットを繰り返し、最後に全体をつないでクマが完成しました。全体で5時間くらい。やり直しが多かったので、普通ならこんなに時間はかからないかもしれません。

目は、白いプラスチックのビーズがあったので、黒のサインペンで着色して使いました。鼻は黒糸で刺繍しましたが、慣れないので、思ったより小さな鼻になってしまいました。どうもクマっぽさが足りない気もしますが、夫や夫の家族はクマだと断言してくれるので、これ以上はいじらないことにしました。

クマ

出来上がったクマは、このまま実家に置いて、次に着たときに洋服を作って着せようと思っています。今度は型紙を見つけるのが難しいでしょうから、型紙から考えなければならないのかもしれない。となると、暇な時間もあっという間に過ぎていきそうです。

コメントを残す