パッサージュ・ポムレー

パリへ行くと、美しいパッサージュやアーケードが多くみられますが、ナントにもいくつかパッサージュがあります。その中でもきわだって美しいのが、パッサージュ・ポムレー(Passage Pommeraye)です。完成したのが1843年ですから、171年もの長い歴史を誇る建築です。このパッサージュは、30歳の若き公証人notaireルイ・ポムレー(Louis Pommeraye)が私財を投じて建設を手がけましたが、あまりにもお金がかかってしまったため、本人は没落し、1850年に44歳でこの世を去っています。そんな悲劇にも関わらず1843年に完成した美しいアーケードは、ポムレー氏の願いどおり、オペラ劇場のあるグララン広場通じるクレビヨン通り(Rue Crébillon)と、かつて奴隷貿易で栄えたコメルス広場(Place de Commerce)に近いQuai de la Fosse(フォス通り)をつなぎ、2014年の今日まで、様々な人が往来する市民の小路のひとつになっています。買い物や観光目的で通る人が多いので安全なうえ、コメルス方面から帰宅するときには近道でもあるので、学生のときはわざとこの道を使っていた時期もありました。今もひとりで歩くときに、よくこのパッサージュを選んで通っています。

Noël 2010
クリスマス前にはデコレーションが内部をさらににぎやかにする。写真は2010年のもの。

ここ一年以上、パサージュは工事を行って、老朽化していた部分をきれいに作り直し、美しい外観を取り戻しつつあります。30年ほど前は少しさびれていたそうですが、私がナントにやってきた2004年には今のように大変にぎわっていました。

Passage Pommeraye 1
現在は足もとのタイルを修復中。すでに完成した部分を見るとぴかぴかだった。

細かい部分をよくみると、装飾がとても美しく、平日も土日も、多くの人がアーケード内を歩いています。

Intérieur
数年前の催しの際には、内部の彫刻が帽子とかぶり、ブルターニュ風のストライプシャツで訪れた人を迎えた。

intérieur 2

このパッサージュの魅力は、ただ建築を眺めるだけでなく、アーケードの中にあるお店で買い物もできること。

entrée
パッサージュの入り口。ここをまっすぐ歩くと、下へ降りる階段へとつづく。

クレビヨン通りから入ると、右手はHermès(エルメス)、左手には靴屋さんが並んでいます。その先には、革製品の店Le Tanneur(ル・タヌール)があります。派手な男性用のワイシャツを売るお店もこの近くです。木の階段を下りると、ナントの特産品やおみやげにぴったりなお店Viamaris(ヴィアマリス)があり、向かいには古切手の店、またポップな色の雑貨のお店など、いろいろなお店が並んでいます。そして最後はチョコレートのGeorges Larnicol(ジョルジュ・ラルニコル)、その向かいがカンペールなどの靴を揃えたお店です。

パッサージュ・ポムレーには住んでいる人もいるため、昼間はだれでも通れますが、夜になると門を閉めてしまうため、翌朝まで通ることはできません。また、先週からかなり暴力的なマニフェスタシオン(デモ行為)がナント市内を脅かしていますが、もっとも激しかった11月1日はパッサージュ・ポムレーも、安全のためか早めに門を閉じていました。パッサージュにつながるお隣のクレビヨン通りのお店は、先週の破壊行為でウインドウがいくつも割られ、いまも板切れで仮修復をしただけの状態のお店がいくつもあります。今朝(11月2日)までに壊れたものや汚れなどは最大限の修復が行われたと見えて、午後には街はほぼ元通りになっていました。

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